「決算って持ち越した方がいいのかな…?」
「下がったらどうしようと思うと、毎回ビクビクしてしまう」
「結局、自分の判断軸が定まらない…」

そんな悩みを抱えている兼業投資家の方へ。

この記事では、スイング〜長期投資までスタイル別に、決算前後の立ち回り方についてわかりやすく解説します。
特に、「仕事があるから株に割ける時間が限られている」「でもなるべく失敗したくない」という方にとって、判断の軸が明確になるはずです。

✅ こんな方におすすめ:

  • 決算シーズンになるとポジション整理すべきか迷う方
  • 銘柄ごとに対応がバラバラになってしまっている方
  • 自分のスタイルに合った投資判断を身につけたい方

私自身、以前は決算持ち越しのたびに「当たるか外れるかの運頼み」になっていました。
でも投資スタイルごとにルールを決めるようにしてからは、感情に振り回されることが減り、結果的にパフォーマンスも安定するようになったんです。

「明確な判断軸があれば、決算も怖くない」
そう実感した体験をもとに、今回は決算シーズンに迷わないための考え方と行動パターンを整理してみました。

それでは早速、本題に入っていきましょう。

【投資スタイル別「決算対応早見表」】

まず最初に、投資スタイルによって「決算への向き合い方」が大きく異なることを整理しておきましょう。
以下の早見表を見れば、自分のスタイルに合った方向性が明確になるはずです。

投資スタイル決算前の行動決算後の方針判断のカギ
スイング/中期投資期待上げで仕掛け、利確狙いも可謎下げでの押し目拾いも狙える地合い・板の反応・需給・テクニカル
長期投資基本は保有継続保有理由にブレがあれば見直す定性+定量チェックの積み重ね

ここからは、スタイル別に「どう動くべきか」を詳しく解説していきます。


◆ スイング/中期投資家の決算対応

【決算対応での狙い】

  1. 決算発表に向けての投資家の期待による株価上昇を狙って利確する
  2. 注目銘柄は「下げたところを拾う」
  3. “限定的条件下においてのみ決算での株価上昇を狙う

【狙い①】期待上げを狙ってのエントリーで資産増加を目指す

スイング〜中期投資家にとって王道とも言えるのが、「決算発表前の期待上げ」を狙ったトレード戦略です。

企業の業績にポジティブな思惑が集まると、決算の1〜3週間前から株価がじわじわと上昇する傾向があります。この“先回り買い”にタイミングよく乗れれば、短期間で効率的に値幅を取ることが可能です。


✔ 裏付けデータ:2025年7月決算銘柄の値動き傾向

実際に、2025年7月に決算を迎えた複数銘柄を調査したところ、以下のような傾向が見られました。

株価終値の決算発表3週間前と直前の騰落状況を調査

株価の騰落率区分該当銘柄数構成比(全体に対する割合)
+10%以上109銘柄10%
+5以上〜+10%未満260銘柄25%
±0%以上〜5%未満516銘柄49%
▲5%以上〜±0%未満144銘柄13%
▲10%以上〜▲5%未満24銘柄2%
▲10%未満9銘柄1%

84%の銘柄が決算直前までに株価が上昇していたというデータが示す通り、
「期待による株価上昇」は多くの投資家が実際に仕掛けている王道パターンだといえます。

特に5%以上の上昇を見せた銘柄は35%にのぼり、うまく乗れれば短期で大きなリターンを得られる可能性も十分にある戦略です。


✔ 利確の鉄則:「決算前に抜ける」勇気を持つ

ただし、この戦略の成否を分けるのは“出口戦略”です。
期待で上がった銘柄は、決算でポジティブな結果が出ても「材料出尽くし」と見なされて株価が下がるケースが珍しくありません

👉 目標株価に届いたら、決算前にしっかり利確するのが鉄則。
「もっと伸びるかも…」という欲を抑えることが、安定した利益につながります。


⚠ 注意点:地合いによって成功確率は大きく変わる

この戦略を使う上で、特に意識しておきたいのが「全体相場(地合い)」の影響です。

地合いが良いとき(リスクオン相場・マザーズ堅調など)は、期待上げも素直に株価に反映されやすくなりますが、
逆に、地合いが悪いと「好決算が出そう」な銘柄でも買いが入りづらい、あるいは売り優勢になってしまうこともあります。

✅ 成功確率を高めるためには:

  • 地合いのトレンド(日経平均・新興指数の動き)を確認
  • 信用買い残や需給にも注意(信用買いが膨らんでいると重くなりやすい)
  • 出来高の増加やテーマ性の有無も確認ポイント

まとめ:期待上げ狙いは「地合い+タイミング+利確ルール」が決め手

「決算で上がるか?」を予測するよりも、「決算前に市場がどう反応するか?」を見極めることが、この戦略のキモです。
期待上げを狙うのであれば:

  • 目標株価はあらかじめ決めておく
  • 決算は“またがず”に、直前に利確
  • 地合いと需給を無視せず、見極めてエントリー

こうした基本を押さえておくことで、決算前の“期待上げ”戦略は、再現性の高い武器となります。


【狙い②】決算後に“謎下げ”する銘柄を狙うチャンス

決算発表を無事通過したにもかかわらず、株価がなぜか下がる――。
「内容は悪くなかったはずなのに…」という“謎下げ””一時的な過剰反応”は、決算直後のマーケットでよく見られる現象です。

このような局面は、多くの投資家が不安になって手を引く一方、**冷静に状況を見極められる人にとっては“絶好の押し目買いチャンス”**になります。


✔ 裏付けデータ:決算後に“下がった”銘柄の割合

以下は、2025年7月決算銘柄の「決算発表翌日の値動き」をまとめたデータです。

株価の騰落率該当銘柄数構成比(全体に対する割合)
+10%以上716%
+5以上〜+10%未満1039%
±0%以上〜5%未満37034%
▲5%以上〜±0%未満39436%
▲10%以上〜▲5%未満11410%
▲10%未満525%

👉 決算翌日に株価が下落した銘柄は全体の51%にのぼります。

つまり、半数以上の銘柄が決算直後に下がっているという事実があり、なかには増収増益といった“良い内容”でも売られた銘柄が少なくありません。
これは、「決算の内容」ではなく「期待とのズレ」が売り材料になったケースが多いと考えられます。


✔ なぜ“謎下げ”が起きるのか?

短期的な値動きは、「内容が良いか」よりも「期待と比べてどうだったか」が大きく影響します。

たとえば、以下のようなケースではポジティブな決算でも売られることがあります:

  • 前年比では増収増益だが、四半期ベースでは成長が鈍化
  • 会社予想が据え置きで、市場が「成長停滞」と受け取った
  • コンセンサスに届いていない(例:営業利益+10%だが市場予想は+15%)
  • 決算発表までに期待が先行しており、**“材料出尽くし”**と判断された

このように、「良い決算 = 上がる」とは限らず、市場心理とのギャップが値動きを左右することが多いのです。


✔ どう活かす?“謎下げ”局面での3ステップ戦略

決算後に下落した銘柄すべてが買いチャンスになるわけではありません。
だからこそ、“謎下げ”局面での立ち回りには、準備と見極めの精度が求められます。

ステップ①:仮説&予測を立てて決算に臨む

謎下げを狙うには、事前のシナリオ構築が不可欠です。

  • 決算で何が起きそうか?(数値、注目材料、ガイダンス)
  • 市場はどういう期待をしているか?
  • 下げた場合、どの水準なら拾えるか?

→ この仮説を事前に持っておくことで、決算発表後に即座に判断し、スピード感ある対応が可能になります。


ステップ②:決算内容を冷静に精査する
  • 増収増益かどうか
  • 前四半期比・前年同期比の伸び率
  • ガイダンスの内容とトーン
  • コスト要因・一時的な悪化要因の有無
  • 経営陣の説明・コメント

→ 本質的に問題がないのに売られている場合、投資妙味は高くなります。


ステップ③:テクニカル&需給面も確認
  • 株価はサポートライン付近か?
  • 出来高の増減は?(投げ売り一巡?)
  • 信用残や貸借倍率の水準は適正か?

→ 数字だけでなく、市場参加者の動向や需給状況をあわせて分析することで、より確度の高い押し目判断が可能になります。


銘柄分析に役立つ記事はこちら↓

マネックス証券銘柄スカウターの使い方|兼業投資家が分析を劇的に時短する方法

活用パターン例

  • パターンA:増収増益・見通し据え置き → 翌日▲3%下落
     → 内容は問題ないが、市場の期待に届かず。サポートライン付近で買い。
  • パターンB:営業利益微減 → 翌日▲6%下落
     → 数字は悪く見えるが、一時的な構造改革費用。中期視点では業績回復の期待あり。

まとめ|“謎下げ”は恐れず、冷静に見極めて拾う

決算直後の下落は、感情的な売りや短期筋の投げによって生じているケースが多く、
実は兼業投資家にとっての「絶好の仕込みチャンス」となることもあります。

ただし、安易に「下がったから買う」ではなく、しっかりと中身を精査する姿勢が不可欠です。

✔ ポイントは、「一時的な過剰反応か?それとも本質的な悪材料か?」を見極めること。

この視点を持つことで、決算シーズンを“攻めの場”として活用できるようになります。

【狙い③】「決算での爆上げ」を狙う戦略|成功率は低いがハマれば大きい

決算発表をきっかけに、株価が一気に10%、20%と上昇する“爆上げ銘柄”――
株式投資をしている人なら誰しも一度は「こういう銘柄を決算前に仕込んでいれば…」と思ったことがあるのではないでしょうか。

この【決算プレイ】は、うまくいけば短期間で大きなリターンを得られる一方で、成功確率は決して高くなく、条件も限定的です。

特に時間が限られる兼業投資家がこの戦略を実行する際には、“やるなら厳格に条件を絞る”ことが絶対条件となります。


✔ 裏付けデータ:決算で10%以上上昇した銘柄の割合は?

2025年7月決算における発表翌日の株価変動データを見ると、

  • +10%以上の上昇:71銘柄(全体の6%)
  • +5〜10%未満の上昇:103銘柄(全体の9%)

合わせて15%程度の銘柄が、決算翌日に大きく上昇したことになります。

つまり、“爆上げ”する銘柄は確かに存在しますが、全体のわずか15%前後という狭き門であり、残り85%は期待外れか下落という現実があります。


✔ どんな銘柄が“決算爆上げ”しやすいのか?

「上がるか下がるか分からない」決算プレイを、少しでも成功確率を上げて挑むための条件があります。

チェック項目内容
サプライズ要素コンセンサスを大幅に上回る業績(特に営業利益)
テーマ性市場で注目されるトレンド・テーマ(AI、半導体、EVなど)と合致している
時価総額小型〜中型(時価総額300〜1000億円台が反応しやすい)
信用倍率信用買い残が少なく、踏み上げ余地がある
過去の反応過去に決算で大きく動いた“クセ”のある銘柄かどうか
チャート形状決算直前に出来高減・ヨコヨコの調整局面でエネルギーを溜めている

これらの要素が複数揃った場合、“上振れ決算 → 株価急騰”の可能性が高まります。


✔ 注意点:「勝負すべき」タイミングを間違えると痛手に

一方で、この戦略には大きな落とし穴もあります。

爆上げを狙う際の主なリスク

  • コンセンサス通りの決算=材料出尽くしで下落
  • 想定以上の好決算でも「来期予想が弱い」と売られる
  • 信用買いが溜まっていて上昇しても利確売りに押される
  • 地合が悪ければ好決算でも株価は反応しない

つまり、「内容が良い=上がる」とは限らず、“市場心理”や“需給”にも大きく左右されるのが現実です。


✔ この戦略はどう使うべきか?兼業投資家向けの提案

  • 全ポジションで狙わない
     → あくまでポートフォリオの一部で試す“アクセント的戦略”と捉える。
  • 決算日を把握し、リアルタイムでの反応に対応できるかを考える
     → 決算発表が夜で、翌朝の寄り付きで大きくギャップアップするパターンも多いため、場中に張り付けない人は持ち越しリスクも織り込むべき
  • “勝てるパターン”に限定して参加する
     → 銘柄のクセ、事前の業績修正、テーマ性、チャート形状を含めて、自分の中で「勝ちパターン」を絞ってからエントリーする。

✔ まとめ:爆上げ狙いは“再現性ある型”を持てるかがカギ

決算プレイでの爆上げ狙いは、確かに魅力的ですが、成功するには「運」ではなく「型」が必要です。
そのためには、条件の絞り込みと過去データの検証、自分なりの勝ちパターンの蓄積が重要になります。

兼業投資家であっても、こうした条件を満たす場面では「一点集中で勝負する」ことが可能です。
ただし、無理に毎回参加するのではなく、精度の高い時だけ狙う“狙撃型”の戦略として活用するのがベストです。


◆ 長期投資家の決算対応

【長期投資家の決算対応】“決算は通過点”という視点を持つ

長期投資を志向している方にとって、決算は株を「売る・逃げる」ための場ではなく、“保有継続の根拠”を再確認する場です。

短期投資家のように、決算発表の数字ひとつで売買を判断するのではなく、自分が最初に「なぜその株を買ったのか」という“保有理由”が崩れていないかを見極めることが、最も大切な視点となります。


✔ 結論:「保有目的」が崩れていないなら継続保有

たとえば以下のようなケースであれば、たとえ決算で株価が一時的に下落しても、慌てて売る必要はありません。

  • 中長期で成長を見込んでいた事業が引き続き順調に進んでいる
  • 決算の悪化は一時的なもので、構造的な問題ではない
  • 経営陣の方針・ビジョンにブレがない

むしろ、株価が一時的に下がることで“割安な追加購入チャンス”になる可能性もあります。


✔ 「保有継続 or 見直し」の判断軸はここを見る

長期保有を前提としつつも、「決算で確認すべきポイント」は明確に押さえておきましょう。

✅ 決算でのチェックポイント(定性・定量の両面)

視点確認項目
定量面売上・営業利益・純利益の進捗と前年比(通期目標に対してどこまで進んでいるか)
定性面経営戦略に進捗があるか(新規事業、海外展開など)/説明資料・IRの誠実さと透明性
長期視点将来の利益成長が鈍化していないか(過去数年と比較)/一時的要因ではないか

✔ 実際の保有判断の例(私自身のケース)

たとえば私が以前から保有していた【アイビス(9343)】という銘柄では、6回連続で決算通過後に継続保有を選びました。
理由は、本業の業績が安定して進捗していたからです。

しかし、7回目の決算で「来期見通しの成長鈍化」「粗利率の低下」が見えた瞬間に、保有目的とのズレを感じて売却判断をしました。

このように、長期投資といえど、“永遠に保有する”のではなく、定期的に「自分の投資テーマと合っているか?」を確認しながら微調整することが大切です。


✔ 長期投資家でも「決算を使いこなす」3つの心得

① 株価ではなく“中身”を見る

株価が決算翌日に下がったとしても、それが「失望売り」なのか「一時的な需給による押し目」なのかを見極めましょう。

② 定点観測として活用する

決算ごとに、「ビジネスは進捗しているか」「経営陣の考えは一貫しているか」を記録することで、時間をかけて“投資ストーリーの検証”ができます。

③ 必要なら“買い増し”も選択肢に

決算内容が好感でき、株価が下がっているなら、あえて買い増しのタイミングとして活用するのも戦略の一つです。


✔ まとめ|決算を「売るためのイベント」にしない

長期投資の本質は、「株価」よりも「企業の中身」を見ること。
決算はあくまでその中身をチェックする**“通過点”であり、ゴールではありません。**

「保有理由が変わらないなら、保有を続ける」
「違和感を感じたら、冷静にポジションを見直す」


◆ まとめ:決算シーズンを“迷いなく乗り切る”ために必要な視点とは?

決算シーズンが近づくたびに、「持ち越していいのか?」「今のうちに売るべきか?」と悩む兼業投資家の方は多いはずです。

しかし、この記事で繰り返しお伝えしてきた通り、**重要なのは「自分の投資スタイルに合った判断軸を持つこと」**です。

決算は、すべての投資家にとって一律の「正解」があるイベントではありません。
むしろ、自分の投資期間・目的・リスク許容度に応じて、正解は変わるのです。


✅ 投資スタイル別 決算対応の基本スタンス

投資スタイル決算前の行動決算後の方針判断のカギ
スイング/中期投資期待上げで仕掛け、利確狙いも可謎下げでの押し目拾いも狙える地合い・板の反応・需給・テクニカル
長期投資基本は保有継続保有理由にブレがあれば見直す定性+定量チェックの積み重ね

スイング・中期投資家の視点:3つの狙い方

① 決算前の“期待上げ”で資産増加を狙う:
決算直前の思惑買いに乗って、早めの利確で利益を確定。
👉 地合い・需給の見極めが成功率を左右します。

② 決算後の“謎下げ”を拾う:
内容は良いのに下がった銘柄は、短期的な感情売りが原因のことも。
👉 決算内容の精査+テクニカル分析で反発狙い。

③ 決算“爆上げ”を狙う:
大きなリターンが見込める反面、成功確率は低め。
👉 条件を絞った“狙撃型戦略”でアクセント的に狙うのが◎。


長期投資家の視点:決算は“通過点”として活用

決算のたびに売るか悩む必要はありません。
むしろ、「保有理由が崩れていないか」を確認するタイミングと考えるべきです。

  • 決算で売上や利益の進捗をチェック
  • ビジネスモデルや経営戦略のブレを確認
  • 将来の成長性に変化があるかを比較

👉 良い内容なのに株価が下がっている場合、買い増しのチャンスになることも。


決算シーズンを乗り切る3つの心得

  1. 投資スタイルごとの「判断の型」を持つこと
     → 感情に左右されず、行動のブレが減る。
  2. 判断のスピードと精度を上げる準備をすること
     → 決算前に仮説を立てておけば、迷わず動ける。
  3. 全ての決算に反応しようとしないこと
     → 再現性のある場面だけに絞って参加するのが吉。

最後に一言

決算シーズンは、投資家にとって「試される期間」でもあります。
情報が錯綜し、感情が揺さぶられがちな時期だからこそ、“自分だけの判断軸”を持つことが何よりの武器になります。

迷った時は、本記事に立ち返って「自分のスタイルではどう動くべきか?」を確認してみてください。

あなたの投資判断が、ブレずに決算を乗り越えられることを願っています!